Blog, 家具について
椅子座編み用の材料について
今回は座編み用の材料についてお話したいと思います。普段使っているものは、ペーパーコードと呼ばれているもので、読んで字のごとく紙紐です。現在使っているのは日本製の紙紐で、三本の細い紐をよって一本にしたもので耐久性も充分にあります。(二本をよっているものもある)
樹脂を含浸させた紙をよった紐は、従来の植物の茎や葉をよった縄と比べて、紐の品質が全体に渡り均一であることや、座面として十分に強度があること、さらに使用感も優れていることなどの理由で1940年代頃から椅子に用いられだしたと云われています。改めてペーパーコードの利点とは何かと言いますと、まず素材自体の重さが非常に軽いものとなっていますので軽量化が図れます。またクッション性がありますので適度に座面が体にフィットします。しかし一番の利点は編み直しが出来ることにより長く使いづつけることが出来ることだと思います。『Manuf』のコンセプトの一つである、「使い続けれるもの、受け継いでいけるものを作る」という点に関して最適の材料と云えます。
いぐさで編んでみた
先日、ひょんなところで熊本の縄屋さんと知り合う機会があり、以前から興味のあったいぐさ縄で椅子を編んでみたいということを話したところ、知り合いを当たっていただけるとの事で楽しみに返事を待っていました。蛇足になりますが、熊本県八代地方はいぐさの生産地で国産畳表の8~9割を作っているそうです。
しかしなかなかお返事がきませんでした。何故かというとその方は九州では珍しい、瓦葺の屋根をつくる職人さんで色んな場所から依頼があり、あちこちで仕事をしているとのことでした。
いぐさで編む?と疑問がわく方も多いのではと思います。わたくしもその一人ではあったのですが。ちょっと調べてみると、ラッシュ編みと云いイギリスなどで古くから行われているものでした。日本では居酒屋さんやおそば屋さんで見かける編みの椅子が、身近にあるラッシュ(いぐさ)を使ったものではないでしょうか。またいぐさに似た姿の種として、ホソイやフトイといったカヤツリグサ科の植物があります。(いぐさはイグサ科)フトイなどは『松本民芸家具』に使われています。近いところで全国で大分県の国東半島でしか栽培されていないいぐさの一種で、「しっと」とも呼ばれる七島い(しちとうい)などというものもあります。
前置きが長くなりましたが、ようやくいぐさのロープが届き、さっそく編んでみました。椅子のデザインも関係するとは思いますが、いぐさを編むことにより、どことなく民俗的な雰囲気なものに仕上がった印象です。
今回、いぐさで編んだことによりもっと色んなもので編んでみたらどうなるだろうと、一層興味がわいてきました。少し考えただけでも、麻紐や水草など。まず前提として、長いロープ状になっているものしか現在では編めないのですが。とりあえず次回はこちらはよく見かけます、アクリルテープを使って椅子を編んでみたいと思っています。その様子はまたアップいたします!